光のもとでⅠ

「……海斗、もうそれも無理っぽいわ」
 代わりに私が答えると、「なんで?」と質問の矛先が私を向いた。
「翠葉、秋斗先生と同じ空間にいるだけでも体が硬直しちゃうみたい」
「マジっ!?」
 今度は視線を翠葉に戻した。
 翠葉は相変わらず言葉を失って俯いたままだ。
 そんな翠葉を見た海斗の眉尻が下がった。
「翠葉、悪い……。秋兄、そんな怯えさせるようなことしたんだ?」
 翠葉はばっ、と顔を上げ、
「違うっ。あのね、私が許容できないだけで、たぶん――きっと、そんなひどいことをされたわけじゃないと思う」
 最初は勢いよく話したものの、最後は消えゆくように話した。
 あくまでも秋斗先生は悪くない、とそう伝えたかったのだろう。
「そっか……ありがと。秋兄のことかばってくれて」
 その想いを察したのか、海斗がふわりと笑った。
 そして顔を引き締め、
「でも、やっぱり翠葉を好きなら秋兄が我慢すべきだと思う」
 翠葉を真っ直ぐに見て言う。