光のもとでⅠ

 意思の疎通はできたようだ。
「「なんで!?」」
 ふたり声を揃えて訊き返す。
「そんなの、こっちの気持ちが固まるまで待たせておけばいいのよ」
 つい啖呵切ってしまったけど――。
「性行為自体は怖くても、好きな人は好きな人でしょう?」
 飛鳥が訊くと、翠葉は手に持つグラスに視線を落としてこう言った。
「あのね、私は……意識した途端に秋斗さんも怖くなっちゃったの……」
 見ていられないくらいに怯えている。
 でも、どうして……?
「秋斗先生だけ?」
 私が訊くと、
「うん、ほかは海斗くんも佐野くんも司先輩も大丈夫。でも、秋斗さんは同じ空間にいるだけで体が硬直しちゃうくらいで――どうしたらいいのかわからないの」
 言葉を失っていると、飛鳥が「まずはそれを飲んじゃおうよ」と翠葉のグラスを指差した。
「うん」
 翠葉は少しずつ酸味あるハーブティーを口にする。
 一口一口確認するように飲む姿すら痛々しい……。