光のもとでⅠ

「大丈夫！　みんな午前で部活終わってきているし、桃華が洋服っていうことはこのあとの予定はなし！」
　飛鳥が元気よく答えると、翠葉は私の服装に目を移した。
　そう、今日は洋服。
　とくに家の用事もなければそれ以外の予定もない。
　翠葉は少し躊躇いがちに話し始めた。
　一言目が、
「……実は、数日前に秋斗さんと付き合うことになってね――」
「ついにかっ！」
「えーーーっ!?」
　佐野と飛鳥がわかりやすい反応を見せた。
　私はというと、なんとも言えない気分だ。
　そして海斗も乾いた笑いをもらしている。
　たぶん、海斗は私と同じような心境なのだろう。
　藤宮司の想いも知っていて、なおかつ翠葉の気持ちも秋斗先生の気持ちも知っている。
　まさか、藤宮司を不憫に想うことがあろうとは……。
　私にとっては不覚とも言える事態だ。