海斗の案内でマンションへ入り、エレベーターは九階で降りた。
 隣では久しぶりに翠葉に会えるとしきりにはしゃいでいる飛鳥と、それをのんきな顔をして眺めている佐野。
 海斗はいつもと変わりなく先頭を歩いている。
 ひとつのポーチに入ると、インターホンは鳴らさずに指紋認証を使って玄関のロックを解除した。
 ドアを開けると栞さんが出迎えてくれる。
「みんないらっしゃい。まずは手洗いうがいを済ませてリビングで待っててもらっていいかしら?」
 海斗は「はいはい」と答え、私たちは「お邪魔します」と中へ入った。
 洗面所で手洗いとうがいを済ませ廊下へ出ると、玄関脇にある部屋のドアが開いていた。
 翠葉が使ってる部屋かしら……。
 佐野と飛鳥はそのままリビングへ行き、一番に手洗いうがいを済ませた海斗に声をかけられた。