観覧窓から見る秋兄は意識がある状態で、手術用の内視鏡を見るなり、
「そんなの喉通りませんよっ」
 と、抵抗を見せる。
 確かに、普通の内視鏡カメラよりも数段太いチューブであることは確かだ。
「うるさい。静かにまな板の上の鯉になれ」
 と、姉さんに筋肉注射を打たれ、喉に麻酔用のスプレーをされて黙らされた。
 兄さんが、
「喉に通すときは一瞬意識なくすから大丈夫」
 などと言い、麻酔の操作を始める。
 秋兄の意識がなくなると、姉の手により素早く人工呼吸器が鼻からチューブで通される。
 そして、口が閉じないようにマウスピースを噛まされ、そこに秋兄が嫌がったチューブが挿入され始めた。
 モニターにはきれいに映像が映し出され、食道を通り胃に達すると、真っ赤な壁面が現れた。
 それを生理食塩水で流し吸引すると患部が見えた。
 俺に確認できるもので二ヵ所。
 直ちにクリップで留めるという治療が始まった。