俺、もしかして秋斗様に甘くなってきているのだろうか……。
「しばらく、仕事面でも私生活でもお世話になると思います。すみませんが、どうぞよろしくお願いいたします」
「いえ、私の仕事は秋斗様に関する全般と社長に申し付かっておりますので……」
「さすが斎さん……。人選において何もかもが適材適所だ」
 顔を微妙に逸らしつつ、そんなことを口にした。
「じきに運ばれてきます。あ、そうだ……念のために蔵元さんの携帯の番号をうかがってもよろしいですか?」
「はい、かまいません」
 胸もとから名刺を取り出し、それを差し出した。
「では、またあとで顔を出します。何かあればナースコールを押してください」
 楓様が出ていかれて数分すると、看護師二名に付き添われた意識不明の秋斗様が運び込まれてきた。