秋斗様の携帯が鳴り、それに出ると秋斗様の表情が変わった。
 相手はどうやら湊様らしい。
 昨夜の件だろうか……。
 傍目に見ているだけでも秋斗様の絶句が目立つ。
 電話を切ったあとは放心状態に近いものがあり、咳き込んだかと思ったら大量の血を吐き出した。
「秋斗様っっっ」
「秋斗さんっっっ」
 咄嗟にパソコンから顔を逸らしてくださったおかげでパソコンは無事だが、当たり前のごとく秋斗様は無事とは言いがたい。
 吐血した分量もかなりのものだ。
 傾いた秋斗さんの体を唯が支え、椅子から転倒することは避けられた。
 俺は携帯から消防へ連絡を入れた。
 ちょうどそのとき、部屋のインターホンが鳴り急いでそれに出ると須藤さんが立っていた。
「少々気になりましたもので、胃薬をお持ちいたしました」
「すみません、ちょっと中に入ってもらってもいいですか?」
 有無を言わせず中に引き入れる。
 そして、目の前に広がる光景に驚いたのか、須藤さんは一瞬言葉に詰まり、しかし次の瞬間には唯に指示を出していた。