光のもとでⅠ

 まさか、昨夜の一件で胃潰瘍になるなんて思ってはいなかったわけだし……。
 でも、知っておかないといけない気はした。
「翠葉ちゃんね、お風呂に入っているときにキスマークを目にして、ボディタオルで真っ赤になるまで擦ったんですって。それも、ボロボロ泣きながら。それだけでキスマークが消えるほどの内出血を起こしていたらしいわ」
 俺は文字通り絶句していた。
 昨夜の話じゃなくて、これは今日起こった話……?
 湊ちゃんはそんなことは言っていなかった。
 俺に隠していたようにも思えない。
 もし、そんなことが起こっていたとしたら、俺は怒鳴られたはずだ。
「そのあと、私も栞ちゃんもついていたのだけど、彼女、寝ている間に首を掻き毟ったみたい。気づいたときには擦過傷のひどい状態、出血を起こしてた」
 ――擦過傷で、掻き毟って出血するほどって……!?
 頭が真っ白になる。何も考えることができなくなるほどに。
「美波さん……俺、そんなにひどいことをしたんでしょうか」
「……そんなこともないわ。ごく普通の十七歳の子なら受け止められる範囲の行動じゃないかしら?」
 引っかかりのある言葉だった。