光のもとでⅠ

 昨夜の出来事なら情報は得ている。が、ほかにもあるなら話は別だ。
「あったわ。……たぶん、秋斗くんがショックを受けることよ。でも、知っておいたほうがいいと思うの。もしかしたら栞ちゃんか湊ちゃんから聞くかもしれないけど……。でも、あえて私の立場から言わせてほしい」
 美波さんにしては珍しく前置きが長い。
 それでも、内容は明確に話してくれそうだ。
 トレイにカップふたつを乗せてリビングへ来ると、コーヒーを差し出された。
 そのカップを一瞥して美波さんに目を向けると視線が合った。
「しばらくの間、翠葉ちゃんに触れるのはやめたほうがいいと思うわ。キス以前に抱きしめるとかそういうことも含めて、ね」
 楓にも湊ちゃんにも言われたけれど、美波さんの言葉が一番重く感じるのはどうしてだろう。
 やばい、胃が痛む――。
「美波さん、起きてる事態を把握しておきたいので、包み隠さず教えてください」
「最初からそのつもり。オブラートになんて包むつもりないわ」
 果たして、今の自分が昨夜以上のことを受け止められるのかは不明。