気づくとベッドの上に寝かされていた。
「あぁ、気づかれましたか?」
 ……蔵元?
「病院ですよ」
「病院っ!? 痛っ――」
「大マヌケ……」
 蔵元とは反対側、窓際のベッドサイドに白衣を着た楓が立っていた。
「胃潰瘍だよ。普段からコーヒー飲みすぎ。不摂生しすぎ」
 ぶすっとした顔で見下ろされる。
「吐血してるから最低でも一週間は入院」
「……は?」
「……何、恋愛ごときで胃壊してるんだか」
 ……マジで? 俺、胃潰瘍なの?
 まじまじと楓の顔を見るものの、呆れてものが言えないという顔をされる。
「あのさ、ものは相談で一度マンションに帰りたいんだけど……」
「この状態で出せるわけないだろっ!?」
 ですよねぇ……。
「でも、仕事に必要なものとか、あの部屋、俺じゃないとわからないもの多すぎるんだ」
「それは確かに」
 と、蔵元が頷いた。