光のもとでⅠ

「はっ!?」
「悪い、ちょっとわがまま聞いてよ」
 今回ばかりは自分の分が悪すぎる。
「今日、マンションに一度戻るけど、彼女には会わない。あくまでも昨日何があったのかを確かめるために戻るだけ。それと、当面こっちで必要になるものを取りに行く。……今さ、彼女に会ったら俺何をするかわからないから。若槻、悪いけどしばらくの間、彼女のこと頼む」
「……了解です。俺は俺でリィとの時間が取れるのは嬉しいし。いいですよ、わがまま聞きます」
「助かる……」
「秋斗様、こんなことで潰れてないでくださいよ? 仕事はじゃんじゃん持ってきますし降ってきますから」
「そのほうが都合がいい。しばらく仕事人間になるよ」
「それはそれは頼もしいお言葉で」
 朝食を食べ終えると、若槻との仕事調整や引継ぎに入った。
 昼も適当につまむ程度で、仕事が一段落ついたとき、携帯が鳴った。
「はい」
『私よ』
「湊ちゃん?」
『あんた最悪ね? 何が手ぇ出さないよ』
 俺にはそれに返せる言葉を持ち合わせていなかった。