光のもとでⅠ

「……いったい何時間入ってたんですか?」
 言いながら蔵元はバスタブに手を入れた。
「あぁあぁ……ぬるくなっちゃって。適当にあたたまり直してから出てきてくださいね。朝食は八時半に唯の部屋で摂ることになってます。魂だけ飛ばしてないで、身体本体をご持参ください」
 蔵元はそれだけを言うとバスルームから出ていった。
「……俺、何やってるんだか」
 手に視線を移すと、面白いくらいしわしわになった指があった。

 熱めのシャワーを浴びてバスルームから出ると、八時十五分を回ったところだった。
「久しぶりにぼんやりと考えごとしたかも?」
 バスタオルで髪を拭きつつパソコンを立ち上げる。
 彼女のバイタルに目をやるも、さほど悪い数値は並んでいなかった。
 ついでに今日の天気予報もチェック。
「晴れのち曇り、ね」
 下から来ている低気圧が気になる。雲が発達したら台風になるだろうか……。
 着替えを済ませると、若槻の部屋へ向かった。
 そこでは若槻と蔵元がコーヒーを飲んでいた。そしてもうひとり。
「秋斗様、おはようございます」
 と、白い制服に身を包んだ須藤さん。