――朝、か。
 ベッドサイドにある備え付けの電子時計を見ると六時前だった。
 昨夜はもっと飲むはずだった。
 飲み明かして昼まで寝て……なんて考えてたのにな。
 楓からの連絡で一気に酔いが醒めた。
 もともと酔っていたのかすら怪しいが……。
 それでも、あのあとは飲み続ける気にはなれなかった。
「とりあえず、シャワー……かな」
 着替えは若槻のところに置いてある。あとで持ってきてもらおう。
 立ち上がりバスルームに行こうとしたとき、足に何かが当たった。
「あ……」
 足に当たったものは俺が持ってきたボストンバッグだった。
 ドア脇にあるクローゼットを開ければ、そこにはスーツが二着きちんとかけられている。
「くっ……呼ぶまでもなかったか」
 本当にどこまでも気が回る連中だ。
 シャワーじゃなくてお湯を張るか……。
 久しぶりにのんびりと湯船に浸かりたい気分だった。
 バスタブにバブルバスとお湯を入れ始め、ボストンバッグから着替えを取り出す。
 湯上りはバスローブで問題ないだろう。