「ご飯できたのだけど……。翠葉ちゃん、どうしようかしら」
 栞さんがキッチンから出てくると、それに飛びついたのは美鳥さんだった。
「彼女を呼びに行くのだね?」
 どこか嬉々として問いかける。
「そうなんですけど……」
「その役は私にやらせてはくれまいか?」
 美鳥さんから好奇心オーラが満ち溢れていた。
「妹は少々人見知りをする性質なのですが……」
 御園生さんが言葉を添えると、
「妹君は美少女なのだろう?」
 美鳥さんの言葉に、
「それ、どちらで聞かれたんですか?」
 栞さんが尋ねると、
「マンション内の情報ソースは美波女史と決まっているであろう?」
 胸を張って答える美鳥さんに、皆が納得する。
「ただ、妹は現在篭り中と申しましょうか……」
 御園生さんが申し訳なさそうに言葉を発する。
「おお、そうであった! 自分の気持ちを対峙しているのであったな。それはつまるところどのような問題なのだろうか?」
 誰もが言葉に詰まると思った。けれども、この場には口の軽い海斗がいた。