俺たちの視線が翠に集ると、
「「キスマークっっっ!?」」
 御園生さんと海斗が声を揃えた。
 俺は声を発することもできなかった。
 息を呑むとはこういうことを言うのかもしれない。
 うなじにキスマーク――こんなことをするのは秋兄しかいないだろう。
「やだっ、見ないでっ。みんな部屋から出ていってっっっ」
 首を押さえてベッドの上で蹲る翠の声は、絶叫に近いものがあった。
「……悪い、ふたりとも先に出ててもらえる?」
 御園生さんに言われて、俺と海斗は部屋を出た。
 後ろ手にドアを閉めるも、自分が呼吸をできているのかすらわからなかった。
「秋兄……最後まではしてないよな?」
 海斗がなんとも言えない表情で訊いてきたけど、訊かれても困る。
 むしろ、そんなことは訊いてくれるな――。