「海斗ストップ……」
「あの、えと……その、キャパシティオーバー……かな」
 先に手洗いうがいを済ませてこい、そう言おうとしたら、
「襲われたりしなかったっ!?」
 少しは言葉を選べ、と思いつつも翠の反応を俺は気にする。
 実のところ、俺もそれが気になってここへ来たのだから。
 翠は小さく口を開けフリーズしていた。
「……実際のところ、どうだったの?」
 海斗を抑えながら訊くと、翠はパタリと布団へ突っ伏した。
 そんな翠を見たからだろうか。
 言い出した海斗が強引に腕を首に回し、
「司……こういうことはデリケートな問題だからさぁ、やっぱ言えないと思うんだよねぇ……」
 などと言う。
 そのまま突っ伏している翠を苦笑で見つめていた御園生さんが、何かに気づき手を伸ばした。
「翠葉、首どうした?」
 御園生さんが髪を一房手にとると、首に赤い痣のようなものがあった。