「先生……ずる休みになっちゃうけど、でも、帰りたい――今すぐ帰りたい」
「……帰る前に電話してみたら? 今のご時世意外と便利なんだから」
先生は椅子から立ち上がると、ベッドの上に置いてあったクッションを持ってきた。
ポスン、と床に置くと、
「ほら、座る」
と、肩に力を加えられ、クッションの上に腰を下ろした。
「携帯……誰にかけたらいいんでしょう?」
先生を仰ぎ見ると、
「気になるのが若槻なら若槻にかければいいでしょーが」
それはそうなんだけど……。
大丈夫だよね? ……大丈夫。
だって、唯兄同じ部屋で寝てたもの……。全然起きそうにもなかったし……。
それに蔵元さんも来ていたし、蒼兄もいたし、静さんも午前中は休みって言っていたし……。
いくら保険になりそうな言葉を並べても気休めにもならない。
マンションにいるよね……?
「ほら、とっととかけるっ」
いつの間にか私の前に座り込んでいた湊先生に頭を小突かれた。
別に、それがとても痛かったわけじゃない。なのに、涙が零れそうになる。
手に持っていた携帯を取られ、先生がいくつかの操作をすると返された。
ディスプレイには唯兄へのコールが表示されている。
私は思わず切るボタンを押していた。
「……帰る前に電話してみたら? 今のご時世意外と便利なんだから」
先生は椅子から立ち上がると、ベッドの上に置いてあったクッションを持ってきた。
ポスン、と床に置くと、
「ほら、座る」
と、肩に力を加えられ、クッションの上に腰を下ろした。
「携帯……誰にかけたらいいんでしょう?」
先生を仰ぎ見ると、
「気になるのが若槻なら若槻にかければいいでしょーが」
それはそうなんだけど……。
大丈夫だよね? ……大丈夫。
だって、唯兄同じ部屋で寝てたもの……。全然起きそうにもなかったし……。
それに蔵元さんも来ていたし、蒼兄もいたし、静さんも午前中は休みって言っていたし……。
いくら保険になりそうな言葉を並べても気休めにもならない。
マンションにいるよね……?
「ほら、とっととかけるっ」
いつの間にか私の前に座り込んでいた湊先生に頭を小突かれた。
別に、それがとても痛かったわけじゃない。なのに、涙が零れそうになる。
手に持っていた携帯を取られ、先生がいくつかの操作をすると返された。
ディスプレイには唯兄へのコールが表示されている。
私は思わず切るボタンを押していた。


