光のもとでⅠ

「おはよう」
 静さんが出迎えてくれたのだ。
「おはようございます……」
「さ、入って? せっかくのホテルブレッドが冷めてしまう」
 ダイニングテーブルにはサラダとスクランブルエッグ、パンが用意されていた。
 ガラス製のピッチャーにはオレンジ色の液体。
 きっとオレンジジュース。
 テーブルに着いていたのは湊先生と司先輩。
「翠葉、おはよう。早く食べなさい。今日は学校まで私が送るから」
 司先輩はどうしているのだろう……? 朝練は……?
「……寝坊した」
 と、朝の挨拶をするでもなく、それだけを口にした。
 この場合は答えるという言葉は使えない。だって、私はまだ何も訊いていないのだから……。
「……そうですか、珍しいですね?」
 そんなふうに言葉をつなぐ。
 グラスにジュースを注ごうとしたら、静さんにピッチャーを取られた。
「あ、すみません……」
「静さん、それ半分まで」
 咄嗟に司先輩が声を発した。
 そして席を立ち、キッチンへ入るとミネラルウォーターを片手に戻ってきた。