ピピピピッ、ピピピピッ、ピピピピッ――。
 基礎体温計のアラームが聞こえるのと同じタイミングで、どこかでバシッバシッ、とあたりを叩く音が聞こえた。
 その音にびっくりして起きると、目に飛び込んできたのはラベンダー色のカーテンで、自室でないことがわかる。
 あ……そっか。唯兄と寝るために蒼兄のお部屋に来たんだ……。
 そんなことを考えている間もアラームはなり続け、バシバシと叩く音も途絶えない。
 基礎体温計を口に咥え、部屋に視線をめぐらせると、唯兄はデスクの前で小さく丸まっていて、引き出しベッドには蒼兄が横になっていた。
 蒼兄は何もかけずに寝ていて、唯兄はフローリングの上にタオルケットを敷いて寝ていたようだ。
 さっきのバシバシ、と言う音は蒼兄が目覚まし時計を止めようとそこら中を叩いていた音かもしれない。
 蒼兄は目覚ましの音が鳴ると瞬時に止める癖があるから。
 でも、それで起きないなんて珍しい……。
 ピピッ、と計測が終わったことを告げる音が鳴ると、見事に蒼兄の手がバシッと頭の上あたりを叩いた。