光のもとでⅠ

 どうしてその場で渡してくれなかったのかな?
 そこまで考えて、ふと先月の自分を思い出した。
「……私も面と向かっては渡せなかったっけ」
 ツカサも同じだったのかな?
 そう思うと少し親近感が湧いて、ふふ、と笑みが漏れた。
 あとで電話しよう。ツカサが家に着いた頃に、ただ「ありがとう」を伝えるだけの電話。
 それでツカサが黙り込んだら、「黙ったら困るんだけど」と言ってみよう。
 とても幸せな気持ちでその時間を待ち望んだ。
 このときの私は、レモンイエローの球体がシトリンであることも、緑の球体がペリドットであることも知らず、透明な球体は単なるガラス玉だと思っていた。
 それがガラスではなく石であることを知るのはしばらくあとのこと。
 栞さんが教えてくれるまで、石言葉なんて知りもしなかった。
 水晶は純粋、シトリンは初恋の味、ペリドットは運命の絆――。