「あのね、お薬がお部屋にあるの」
『わかった。すぐに持っていく』
 蒼兄はピルケースと一緒にお水を持ってきてくれた。
 渡された薬をそのまま飲む。
 唯兄と蒼兄が何か話をしていた気がするけれど、残念ながら私の記憶はそこで途切れている。
 眠くて眠くて、どうがんばっても瞼が下がってきてしまうのだ。
 どうやって横になったのかも覚えてない。
 でも、唯兄の手だけはしっかりと握っていたと思う。

 その夜、私はとても不思議な夢を見た。
 お姉さんに、「ありがとう」と飛び切りの笑顔で言われる夢。
 明日起きたら唯兄に話さなくちゃ――。