「お土産、たくさん買ってきたから」
「え……?」
「お土産」
「お土産、ですか?」
「うん」
 リィを誘導するようにピアノの脇を見ると、
「お土産……ですか?」
「そうだなぁ……。お土産兼バレンタインのプレゼント?」
「え?」
「バレンタインは女の子からプレゼントするものじゃないんですか?」
 せっかく俺が植え付けた知識を覆される予感。
「それは日本の、チョコレート会社の商売戦術」
「……海外は違うんですか?」
「そうだね。男女関係なく、より親しい人にプレゼントを渡す風習が色濃いかな? だから、翠葉ちゃんにプレゼント」
「私も秋斗さんにプレゼントがあって――」