林の木の密度が濃くなり始め、真夏だというのにこの辺りはとても涼しかった。
岩の間から水がチョロチョロ流れ出し、うっすらとコケが生えている。
鳥が何羽か羽ばたくと、木々の枝がカサカサと擦れた。
ここ、すごいな……。
この島に、こんなに神秘的な場所があったなんて。
毎年このキャンプ場には来てるのに、ここまでは来たことなかったからな。
「すごいね、ここ」
大声を出したらいけない気がして、ヒソヒソ声で隣の良ちゃんに耳打ちした。
良ちゃんも頷きながら木の枝が作り出す自然の屋根を見上げ、ポカンと口を開けている。
ピタリ……。
今まで無言であたし達の前を歩いていた圭が、突然立ち止まった。
圭の背中から前を覗き込んで見ると……。


