遠くから犬の泣き声が聞こえる。 それが合図のように、瞼が開く。 朝なんて嫌い。朝なんて来なければいいのに。 あたしは夜が好き。 真夜中の暗闇が好き。 暗闇に一人ぼっちでも、寂しくない。 どうしてだろう。 昔のあたしなら、怖くて泣いていたのに。 いつからあたしは変わってしまったんだろう。 いつからあたしは、あたしじゃなくなっていっているんだろう。 「おはよう…」