「退院するのほんとはまだ先だったんだけど転勤で…
それで東京行ってたんだぁ。
親はそれからも行ってたけど、
俺はめんどかったし、ついて行っても
親と一緒にいられるわけじゃなかったから、
ずっと東京の親戚と住んでた」
一瞬つらそうな、さびしそうな顔をしたのは
見間違いだったかなぁ?
そりゃそんな顔もするよ。
だってまだあんな年だよ?
親にだって甘えたい年頃だし。
私だったら耐えられないだろうな。
やっぱ辛かったよね。
その辛さ話してちょっとは軽くなったかなぁ?
辛さは、私に分けていいからね。
これからいっぱい甘えていいからね。
そんな事が頭に浮かんでも
言葉には出さずにずっと
うなずいていた。

