ヴァンタン

「でもパパは思ったんだ。このベッドが亡くなった姉の供養になるのではないかと」

パパは私のポニーテールに手をやった。


「このリボンは二つ……一つは……」
パパは泣いていた。


「解るよパパ。お姉さんによね?」

私の助け舟に、パパは頷いた。


――あのガラスの小箱にあったリボンは、お姉さんの物だったのか……

私は泣いていた。
パパの心遣いが嬉しくて。


「ママはお前が産まれる時に、何時までも引きずっていては駄目だと言って、屋根裏部屋にベッドを移したんだ」

パパも泣いていた。

私はパパの子供に生まれて来た事を誇りに思った。