ヴァンタン

後甲板下のキャプテンバッドの寝室ももぬけの殻だった。

さっき居たこの下の武器弾薬庫にも誰もいなかった。


――武器も無いなんて海賊船らしくないな。


――みんな一緒に海に消えたとか?


――だったら嬉しい。

それでも私はキャプテンバッドの船長室を隈無く探して、ベッドの下に唯一残された太刀を見つけ出した。




恐る恐る私は太刀を手にする。


この太刀は大勢の血を吸って来た筈だった。

だから自然に身構えた。


――凄い太刀!


――流石大海賊キャプテンバッド。

そう思いながらもその太刀を構えてみた。


――様になってる。
私はしきりと自分に関心していた。


――何故?
ふと疑問に思った。