ヴァンタン

あの夜は確かに満月だった……。
パパが魔法の鏡をプレゼントしてくれた翌日。


パパは見回りの為船に戻った。
そしてそのまま船と一緒に行方不明になっちゃったんだ。


海賊船の襲来だと言われてきた。
パパが乗っ取ったとも言われてきた。


――そうか!


――だからお母さんはパパの話をしなくなったんだ。

だから私はパパを忘れていたんだ。


もしパパが犯罪を犯していたら……
母はそう考えていたのだろうか?


それは万が一にも考えられない事だった筈だけど……


――パパはあの日から帰って来なくなったんだ。