ヴァンタン

あの日と同じに……

あの魔法の鏡が私達を写している。

私は十年前のお・ね・え・さんの真似をする。


手を繋ぎ、片方の手を鏡の縁に掛ける。


そうする事で、体は現世に残す事が出来る筈だった。


そう……
鏡の中を旅するのは、魂だった……


――そうだよね? 私が十年前に会ったお・ね・え・さん教えて。


私達は手が離れないようにしっかりと繋ぎ合った。


そして私にとっては懐かしい。
ワクワクドキドキの、鏡の世界。

その入り口へと私は、怖がっているチビと一緒に飛び込んで行った。




――えっ!?


――何故二人を写してた!?


――確か、確か……


――さっきまで自分一人だった……


それが何故……!?


――やはり絵ではなかったのか?


――パパもしかしたら私、とんでもない事をしようとしているのかも知れない。