ヴァンタン

――大人になりたくなかったのは、パパを助けるためだったのか?


――雅に聞いて貰いたかった。


――メグにもベスにも聞いて貰いたかった。


――でももう会えなくなるかも知れない。


――何とかしなくてはいけない。


――お願い。誰か助けて!




その時携帯電話が鳴った。

と言うか……
振るえながら唸っている。


――そうだマナーモードにしておいたんだ……


――えっ嘘!?


――そんな馬鹿な……

私はただ呆然としていた。

もう何も考えられなくなっていた。