ヴァンタン

 私は明日二十歳になる。
本当は、この日をどんなに待ち望んでいたことか。

だってメンバー中、お酒を呑めないのは一人だけだったから。


――でもこの戸惑いは一体何処から……


――それとこのペンダントは……確かパパとお揃いだった筈……

何故だかふとそう思った。


携帯が無いと、頭が冴えるのか?
あれこれと思い出が蘇る。

私は記憶の底で眠っていたパパの存在に気付いて落ち着きをなくしていた。