生徒に資料運びを手伝わせた後、教室を見渡した。
不意に懐かしさが混み上がる。
どうしようもない、何かを忘れている感じもさせる、不思議な程の懐かしさ。
「……レイ、今度はいつ逢えるんだ?」
独り言を吐き、窓の外を見た。
オレンジのかかった赤の太陽に心を奪われそうな、夕焼け空。
……この景色を見る度、思い出して。
何度もあの姿を追っていきたくなって。
無理だと毎回気付かされ、諦めた。
「……っと、戻るか」
職員室に戻ろうと、教室のドアを閉める。
何故だか、久しぶりに空を見たせいか、少しだけ悲しい気分になった。