「これで良いですか?」 教室に着き、教卓の上に丁寧に置く。 先生は「良いぞ」と微笑んで、資料を置いた。 「仲木、ありがとう。帰って良いぞ」 「はい、さようなら」 あたしは先生に背を背けて、スクバを持ち、教室から出る。 先生が笑みを浮かべたまま、「さようなら」を言っていた。 あたしはあえて気付かない振りをして、昇降口まで走った。