②

 電車を降り、少し歩くと、そこは貴之達にとって見慣れた場所だ。

 このまま行くと、あと十分もしないうちに貴之達の喫茶店だが、その途中にある小さな公園に少し寄ることになった。

 美葉が行きたい、と言ったのだ。
 たまたま、誰もいなかった。

「ブランコだなんて、すげえ久しぶりだ」

 尚樹が一生懸命漕いでいる、が、長身の彼の足は地面を引きずってなかなか上手く上空まで上れない様子だった。
 こんなに難しかったっけ、などと笑っている。

 一方、美葉はなかなか上手にブランコを乗りこなしている。

 やがて、早かったスピードが徐々に落ち、キイキイ、と鳴る音も低くなってきた。


 まるで、空を飛んで今にもどこかへ行ってしまいそうだった天使が、地上へと戻ってきたみたいだった。