十畳以上はある、広いシンプルな部屋の真ん中で、うずくまって座っている女性がいた。

 その人は、ゆっくりと顔を上げ、こちらに瞳を向ける。



 美葉だった。



 何も考えられなくなってしまった貴之は、無意識に美葉にかけよって彼女の細い体を抱きしめた。


「……貴之?どうして……」

 美葉の透き通った声が、貴之の頭の後ろで心地よく響く。
 美葉の温もりが貴之には嬉しすぎて、言葉にならなかった。

「……良かった。また、貴之に会えた」
 
 まるで消えてしまいそうな声で美葉はそう囁くと、貴之の背中に手をまわし、彼のシャツをキュッと握った。