あの、着メロの音に貴之が飛び起きる。

 ホコリの様子を眺めているうちに、不覚にも睡魔に襲われてしまっていたらしい。

 慌てて携帯の液晶を覗く。
 
 電話は、尚樹からだ。

「はい」

「……貴之!」

「あ……? どうしたんだよ」

 貴之は尚樹の異変にすぐに気づいた。

 尚樹は変則的な荒い息のまま、叫び声に近い声をあげた。



「美葉がいない!」