④

 ふと、尚樹が腰を上げ、薄手の上着を着始めた。

「どこ行くんだよ」
 貴之の言葉に、尚樹はニッと笑った。

「おまえより、美葉のことの方が心配だ」

 時計を見ると、昼の12時をまわっていた。

「……そんなに<妹>のことが大切か?」

「当然」



 尚樹の後姿を見送った後、貴之の口から自然と言葉がこぼれ落ちた。

「おめーほど、オレは器用じゃねーよ……」



 そして、イグサ臭い畳の上に寝転がった。