どうやら、袋の底にでも穴が開いていたらしく、しかもパンパンにあんな物(こんな物)が詰まっていたため、持ち上げた瞬間に勢いよく穴が広がってしまったようだ。

「うわー、朝からテンション下がるわー」

 散らかったゴミを再びまとめようと、しぶしぶしゃがみ込む貴之だったが、次の瞬間、彼の動きは止まることになる。
 ゴミを片付けるのが嫌になったわけではない。
 
 その<ゴミ>を片付けられなくなったからである。

 紙などの他のゴミとは明らかに違う物体を発見してしまったのだ。



 ……財布?

 うっかりやの尚樹が間違って捨ててしまったのか。

 ……いや、あいつの財布はコレじゃない。