貴之が大きい溜息をつく。

「かわいいな」
 しみじみ、といった感じでそう漏らす尚樹を、貴之が顔を上げて見る。

「おまえじゃないよ、美葉だよ」

「わかってるよ。ばかやろう」
 力なく、尚樹の言葉をかわす貴之。

「美葉はおれ達に甘えたいんだろうな。おまえの布団に入ったりして」

「なんだ、ちゃんとわかってたのか」

「そりゃ、だいたいな」
 はは、と尚樹が笑う。

「貴之、おれさ」
 尚樹が続ける。

「美葉がなんだか妹のように思える」

「妹か……」
「それに、なんか初めて会ったって感じがしないんだよな」
「………」
「美葉にとって、おれ達しか頼る人がいないんなら……あいつを守ってあげたいって本当に思う」