ミックス・コーヒー

「てっきり燃やしてしまったつもりだったが、まさか伊藤の家に隠していたなんてな。参ったよ。
……それにしても」

 河内が大きな呼吸を一つ、した。

「川村は、どっちみち俺が殺してしまうつもりだった。それを、まさかあんたが手助けしてくれるとはなぁ」

 河内は、シゲを見てニヤリと笑った。
 シゲが下唇を噛み締める。

 その時、遠くからサイレンの音が聞こえた。
 警察の車が、こちらへと向かってきているようだ。



「どうせ、芸能界も政治の世界も終わりだ。
ただ、俺は大きい宝物を手に入れた。
……俺の汚い愛で生まれた子供が二人もいるんだ。素晴らしいことだろう?
美葉ちゃん。君がどう思おうが、君はこの俺の子供なんだよ」