ミックス・コーヒー

「あの日、優哉を睡眠薬で眠らせたお前は、車の運転席に優哉を乗せ、シフトレバーをドライブにし、サイドブレーキを解除した。ここは見ての通りの坂道だ。勢いをつけた車はガードレールを突き破って崖から落ちた……」

「その証拠品は正当な証拠品じゃない!!」
 シゲの声を遮るように、河内が叫ぶ。

「……いい加減、お前も見たらどうだ?」

「何をだ? 現実を、とでも言いたいのか?」



「美葉ちゃんの目を、だ」



 河内の動きがピタリ、と止まる。
 ゆっくり、顔を美葉の方へと向けた。

 恐ろしいほどに澄んだ瞳。
 目を逸らすことなく、まっすぐに向けられてくる視線。