ミックス・コーヒー

 シゲは胸ポケットから、大事そうに<それ>を出した。

 そういえば、今日は珍しいスーツ姿だ。

 指輪などを入れるような四角いケースを開ける。
 小さなビニール袋に入った丸いブローチのような物が現れた。
 美しい独特な装飾が施されており、月明かりで更に綺麗に光った。

 袋の上に<2006.09.02>と日付のシールが張ってある。
 事件の起こった日だ。


「これは、優哉のシートベルトに挟まっていたネックレスの部品だ。
……河内心蔵の指紋がついている」


 シゲの息を呑む音が、貴之にも聞こえた気がした。