未だ、自分の追い込まれいる状況がわかっているのかどうか、河内の様子からははっきりと伝わってこない。
 
 自分達の進んでいる道を確かめるように、貴之はまた動き出す。

「実は、手紙は二通あったんですよ。河内さん」

 貴之は、再度ポケットに手を突っ込み、先程とは違う封筒を出した。

 河内は、眉をわずかに歪ませる。

 

 そのもう一通の手紙は、先程の手紙から三年後の物だった。
 
 差出人は、もちろん河内心蔵だ。
 
 そして、宛名は<古亭路誠>だった。