①

「………」

 河内はしばらくの間、黙りこくったまま微動だにしなかった。
 が、突然、気味悪く静かに低い声で笑い始めた。

「はははは……。それが、君達の答えか? その紙切れが君達の武器だというのか?」

 貴之は、河内をじっと睨みつける。

「ところで、それは一体どこで見つけたんだ?」

「……オレの家。<喫茶ひょっこり>です」

「………。なんだそのふざけた名前の店は?」

「うっ、おおお……なんだとおお!!」

 貴之が怒りで爆発しそうになったところを、尚樹が肩に手を置いて静めさせる。
「待て。落ち着け、貴之。キレるところが違う」

 肩を揺らし、激しく呼吸をする貴之に向かって、河内が嫌な笑みを含みつつ問うた。