ミックス・コーヒー

 貴之達が固唾を呑んで見守る中、川村からまた薄気味悪い笑い声が漏れてきた。

「ククッ、ククク……腕を上げましたね。若い刑事さん」

「……あなたが、事務所で菅浦さんを殺した後、遺体を車に乗せ、S県の山に置き去りにしたんですね」
 沢下が膝の上で両手に拳を作る。手のひらには汗が滲んでいた。


「まあ、そういうこと、ですかね」

 川村は、ついにそれを認めた。


「どうして殺したりしたんだ!!」
 ついにシゲが叫んだ。

「……途中までは、言うことを聞いて、かわいい女性でしたよ。ただ、彼女は大きなミスをして私を裏切った。その癖に、馬鹿面を下げてのこのこと私の事務所に来た時は、思わず笑ってしまいましたよ。その時、彼女との縁を切らせていただきました」

「……お前の<仕事>の邪魔をしたから殺したのか?」

 シゲの言葉に「そうですね」と川村が頷く。