「お前を呼び出したのは俺だろう。川村」
 少々苛立った様子で、シゲがその名前を呼ぶ。

「そうでしたね、シゲタさん。直接会うのはかなり久しぶりですね」

「待て。俺の名前は船崎茂だ。カンで言うな」

 川村は、また怪しく笑った。



「さて。私は一体どこに腰をかければよろしいんでしょうか」

「……こちらへ、どうぞ」
 貴之が、川村をテーブル席に案内する。
「コーヒーでよろしいですか?」

「いや、私はコーヒーは苦手なので。ミルクティーをお願いします」

 貴之は、キッチンの尚樹に目で合図をする。
 それを受けた尚樹が、紅茶を淹れ始める。

「それで、私に話というのは?」