「はい。結果、先輩は負けました。あまりにも敵が多すぎたんです。……そして、その数年後、私はミクリと出会いました。彼女はふとしたキッカケで、私が古亭路美鈴さんのマネージャーの後輩だった、ということを知ると、自分の正体と目的を私に教えてくれました」

 貴之達も、吉本の話に聞き入っている。

「それからしばらくして……彼女の<父>である古亭路誠さんが殺されました。ミクリは心のどこかで、両親を殺めたのは同一人物かもしれない、と感じていたようでした」


 吉本は、ミクリ達と河内のことを知らないのだろうか。

 否、知っているが<あえて>そう言ったのではないかと、なぜか貴之はそう感じた。


「なるほど……。その二つの死は、繋がっていたんでしょうか」
 沢下が考え込む。

「……あの」
 吉本が少し言いにくそうに、視線を上げ、沢下を見る。