①

 翌朝になっても、ミクリの意識は未だ戻らなかった。
 それが、麻酔のせいなのかそうではないのか……貴之達にはよくわからなかった。

 だが、医者の話では意識が戻るのも時間の問題らしかった。
 ミクリの傷は深く出血が酷かった為、一時は生死を彷徨ったのだが、幸い急所はギリギリで外していた。


 こうして見ると、普通にただ眠っているかのようだ。


「9時、だな」

 尚樹が自分の腕時計を確認して呟く。

 泣きはらした上に、一睡もしなかった彼の目は、これ異常ないくらいに真っ赤に腫れあがっていた。

 貴之と美葉は少し仮眠をとったのだが、尚樹だけはミクリのそばを片時も離れようとしなかったのだ。