ミックス・コーヒー

   ②

「美葉、似合う!」

 ミクリの声は、貴之の次に大きい。

 そんな彼女の視線は、綺麗な黄色のワンピースを着た美葉に向けられていた。

「やっぱ、よかったあ。それ持ってきて。美葉は黄色が似合うと思ったんだ。あげるから、着てね」
 ミクリはニコニコと笑っている。

 一方、美葉はどこか納得のいかないような表情をしている。
「私、あんまりこういうの、着ないもん」

「そんなこと言わずにさ。すごく似合ってるよ、美葉」

 もともと垂れ目の尚樹だが、更に目じりを下げて頷いている。
「な、貴之」
 
 突然、尚樹に振られ、貴之は慌てる。
「えっ?……ああ、まあ。いいんじゃね?」