ミックス・コーヒー

「5、6人……だったと思います」

「モテるー!!」
 ミクリがどこかの芸人ばりに叫ぶ。

「わー、無理無理無理! おかしいおかしい! いやいや、でもそうなのか……あー、もう! なんなのー」
 なにやら葛藤している彼女を見て、尚樹は思わず吹き出してしまった。

「あ、しかも笑いやがった!」

「いやいや、かわいいなあと思って」

 尚樹がそう言うと、とたんにミクリは静かになった。

 そして「尚くん、ずるいですよ」と、紅い頬を膨らませた。

 尚樹は、その両頬を、右手の親指と中指でムニッと押した。

「おれから告ったのは、ミクリだけだよ」



 ……ホント、ずるい。



 目を逸らして、そう漏らすミクリの唇を、尚樹は優しくふさいだ。